プライベートクラウドは複雑すぎる?
以前、プライベートクラウドのコストが高すぎるかどうかを見てきました(ヒント:一般的には、一定サイズを超えると高価過ぎることはない)。ここでは、プライベートクラウドを設定することが複雑で難しい作業なのかを見てみましょう。
まずは、プライベートクラウドの定義から入ります。この記事では、特にその組織内に限ってアクセスされるデータセンター内のインフラストラクチャと定義します。このインフラストラクチャでは、サーバハードウェアを抽象化するソフトウェアを使用することで、仮想計算、ストレージその他のリソースをプロビジョニングすることができます。VMによる「通常の」仮想化を使用したり、さらには仮想化されていないハードウェアを使用するシステムとは全く異なります。
なぜプライベートクラウドなのか?
次にプライベートクラウドが必要な理由を見てみましょう。多くの企業は、長年にわたってレガシーで仮想化されていないサーバで十分満足しており、パブリッククラウドについては生半可な知識しか持ち合わせていないのが実情でしょう。同様にして、多くの企業が商用の仮想化ソフトウェアを導入して、特段の問題もなく運用しています。しかし、プライベートクラウドは、自社のデータセンターをよりアジャイル化し、既存のリソースを更に有効活用する能力を提供してくれます。そして、多くの企業が既存のインフラストラクチャ・ハードウェアや、コモディティ化したハードウェアをそのまま利用することができます。オープンソースのプライベートクラウドソフトウェアソリューションを選択すれば、ライセンス料やサポート契約のコストを大幅に削減できます。プライベートクラウドは、組織のさらなるアジャイル化を支援します。あっという間にコストが嵩んでいく可能性のあるパブリッククラウドリソースを大量に消費しなくても、変化する市場条件、顧客とビジネス要件に対応することができるのです。
ITスキルのギャップ
社会では、長年にわたってITスキルのギャップについて多くのことが語られ記事になっています。どの企業でも、適切なスキルを持つ人材は不足しているので、プライベートクラウドへの移行はむしろ無謀な計画にも思えます。既存のITチームは、業界用語で「ライトをつけっぱなしにする」こと、すなわち現在のインフラストラクチャを常に稼動させ続けることに重点を置いています。彼らは現行の仕事に関しては非常に優れたスキルを有していますが、今のインフラを稼働させながら新しい技術を学んでそのすべてを導入するだけの時間的余裕はありません。
ソフトウェア
ソフトウェアはかなり複雑なものなので、ソフトウェアエンジニアと熟練したサポートスタッフは人材としての需要が高く、それ相応の給料を稼いでいる理由でもあります。商用の仮想化ソフトウェアと、プライベートクラウドソフトウェアも複雑であり、その認定資格は簡単には取得することはできず、また認定資格を取得したスタッフの雇用も困難です。
オープンソースのプライベートクラウドは複雑さの面での違いはありません。オープンソースのプライベートクラウドソフトウェアのリーダー的存在であるOpenStackは、39の異なるプロジェクトで構成されています。Webフロントエンドからワークロードプロビジョニング、アプリケーションライフサイクル、最適化、コンテナ、コンピューティング、ネットワーク、ストレージ等に至るまで広範囲に及んでいます。ソフトウェアは無料でダウンロードできますが、どのプロジェクトを必要とするのか、それらをどのように組み合わせるのが最良なのかをどうしたら知ることができるのでしょうか?
ディストリビューションの場合
Linuxカーネルをダウンロードして自分のLinuxオペレーティングシステムを設定しようとする人はほとんどいません。そのため、ディストリビューション(一般的にはディストロと呼ばれる)が作成されました。
SUSEは、2000年にエンタープライズ向けに最適化したLinuxディストリビューションを初めて開発しました。2011年にはOpenStackにも同様に対応しました。SUSEは複雑だという認識が一般的だったことから、OpenStackをオープンソースのクラウドコンピューティングプラットフォームとして普及させるためには、ディストロを開発する必要がありました。OpenStackから最も一般的に利用されている複数プロジェクトを抜き出し単一のパッケージに統合することで、導入、管理、保守を遥かに簡略化することができました。そして、SUSE OpenStack Cloudの最新版はリリース8になりました。OpenStackによるプライベートクラウドを極めて簡単に構築することができるため、多くのお客様からご好評をいただいております。
仲間がいる
世の中のすべてのことがそうであるように、あなたを助けてくれる仲間が必要な時が必ずあります。社内にスタッフがいない場合は、コンサルタント会社やシステムインテグレータに協力を仰ぐことで、プライベートクラウドの構築、導入を行うことができます。しかし、私たちSUSEでは少し違ったやり方をしています。2018年には、SUSE Select Servicesをリリースしました。このサービスには、企業がSUSE OpenStack Cloudの実装と統合をすぐに着手できるようにするために、コンサルティング、ナレッジトランスファー、継続的サポートが組み合わされています。またこのサービスは、固定料金サービスのセットであり、企業が自社のビジネス構築のために適正なプライベートクラウドを構築するのに大変役立ちます。ナレッジトランスファーを通じて社内ITチームに貴重なスキルを移転しながら、システムがスムーズに稼働し続けるための支援をします。
プライベートクラウドは理にかなっている
要約すると、競争力と俊敏性を維持し、既存のIT投資を最大限に活用できる方法を模索しながらも、社内には適切なスキルがない場合に、プライベートクラウドを導入することは、深刻に悩むほど困難なことではありません。SUSEのような信頼できるパートナーと組めば、ビジネス要件を満たす最適なプライベートクラウドを手に入れ、スタッフが貴重な最新スキルを学び、現行システムを稼働させながら移行することで、組織に確実に価値をもたらすことができます。
社内にプライベートクラウドを実装しようとして苦労したことはありませんか?OpenStackの実装をDIYで試したものの、うまくいかなかったことはありませんか?SUSEにご連絡ください。プライベートクラウドを征服できない険しい山のように感じているのでしたら、是非ご一緒に登るお手伝いをさせてください。
※この記事はAre private clouds just too complicated?の抄訳です。
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