Deploy or Die(デプロイせよ、さもなくば明日は無い) ~ デジタルファースト戦略における重要な前提条件

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SUSEアジアパシフィック・ジャパン担当副社長兼ゼネラルマネージャー、アンディ・ジャン(Andy Jiang)からのメッセージ

シンガポール金融管理局のマネージングディレクター、ラビ・メノン(Ravi Menon)氏は、この6月に、シンガポールの主要な経済的支柱の1つとみなされている金融セクターが2019年の成長の主な牽引役になるとの予想を述べました。彼は、デジタル化への投資の増加に後押しされ、フィンテック業界は「鮮やかに成長していく」との思いを強調しています。

最近、シンガポール金融管理局が仮想銀行の免許を最大5社に交付する意向を明らかにしたことは、上記の状況を物語る好例と言えます。

オルタナティブ・ファイナンスに関する業界レポートによると、2017年にシンガポールで発行されたすべてのオルタナティブローンの99%以上がビジネスローンによる資金調達でした。これは、ビジネスローンを提供しようとしている金融機関にとって、巨大な潜在市場があることを意味しています。

新しい仮想銀行の免許交付に伴い、シンガポール政府は、国内の中規模企業(SME)およびその他の非小売業界、つまり従来の金融機関によるサービスが行き届いていないセグメントに対して、デジタルバンクによる一層安価なサービスの提供を奨励しています。東南アジアの銀行口座を持たない数百万人に対して、シンガポールのデジタルバンクが低コストサービスを提供することで、243億ドル相当の国内銀行市場の約2%を獲得できると予想されています。

実際、シンガポールでのデジタルバンクへの関心の高さは、業界のデジタルトランスフォーメーションを推進してきた次の動機に由来しています。低コスト、より幅広い顧客層にリーチする能力、および通常の運用を遅らせている多くの阻害要因を自動化で解決する可能性です。

デジタルファースト戦略の重要性

より成熟した企業ほど、デジタル化に踏み出すために自身が変化することには困難が伴います。新たに発生する課題やリスクを管理する必要があり、通常は追加投資が求められるからです。IDCは、2019年に世界中で約1.6兆シンガポールドルの予算がデジタルトランスフォーメーションに費やされると予測しています。

 

しかし、ここには飴とムチの関係が存在しています。

まずムチから説明しましょう。無作為は諸悪の根源です。Innosightによる企業の寿命予測によると、2027年までにS&P 500リストの企業寿命が平均わずか12年になると予想されています。企業がこのリストから消え去るのには、さまざまな理由がありますが、多くの場合、変化のペースに対応できず、変革できないことが経営の失敗要因となっています。

それでは飴は何でしょうか?デジタルトランスフォーメーションは、あらゆる業界に対して、製品、サービス、そしてエクスペリエンスを市場に供給するための新たな方法を提供します。企業は、顧客をよりよく理解してサービスを提供するのに役立つ新しいテクノロジーを採用するか、創造的破壊のリスクを冒すことで利益を勝ち取ります。Boston Consulting Groupのレポート「The Most Innovative Companies(最も革新的な企業)2018」では、調査した企業の中で、イノベーション戦略にとって重要性が高い、ビッグデータ分析やモバイル製品とその機能などの新技術を採用している企業が好評価を得ています。10年前、縦割り組織(IT部門)の中でテクノロジーが孤立していた時代と比べて、デジタル、モバイル、ビッグデータ、その他のテクノロジーは、新製品開発から市場投入戦略まで、会社のすべてのタッチポイントにおいて活用され、イノベーションを推進する形に変わりました。

しかし、提案されたデジタル化を承認するだけでは、必ずしも成功に結び付くとは限りません。10年前、モバイルアプリが必要な企業はどれほどあったでしょうか?そして今、必要としない企業はあるでしょうか?テクノロジー革命は、人々の生活のあらゆる場面での、習慣、ニーズ、需要に直接影響を与え、広範囲にわたる変化を引き起こします。

これは言い換えると、企業の存続は、俊敏で持続可能なデジタルファースト戦略を実行する能力に決定的に依存しているということです。

 

デジタルトランスフォーメーションの原動力は何か?

このような競争の激しい環境下で成功をつかむには、少なくとも以下の3つの基本的な前提条件を満たす必要があります。

  • 俊敏性を高めて変化するビジネスニーズにすばやく対応する
  • 安定性を高めてイノベーションを実現する
  • IT効率を改善してコストを削減する

今日、これらを達成している企業は多くありませんが、抜本的な変更に果敢に取り組む決断をし、巧みに適用すれば達成できるでしょう。アジア太平洋地域の多くの業界にとっては、たとえトランスフォーメーションが非常に緩やかであっても、ビジネスの成功に寄与する2つの非常に強力なプラス要因が待ち受けています。

その1つは、アプリケーションが重要なニーズに対処する手段として存在感を増していることです。今日のデジタル経済において、企業が俊敏性を高めるうえで何が鍵となるかは明らかです。それは、アプリケーションをより迅速にデリバリーすることです。

IDCは、金融サービス企業によるIT支出は、主に地域全体でソフトウェアへの支出が盛んであることから、2021年には7,000億シンガポールドル近くに達すると予測しています。この調査によると、アジア太平洋地域は平均以上の成長を見せています。企業にとっての課題は、アプリが必要かどうかではなく、素晴らしいユーザーエクスペリエンスを提供しながら、リアルタイムサービスに対する顧客の要求を満たすことができるアプリを開発できるかどうかです。ただし、これには少し注意が必要です。サービスの中断は顧客を混乱させ、企業の評判を損なう可能性があるからです。

アプリケーションデリバリーとは別のもう一つのプラス要因として、現在、人工知能(AI)と機械学習(ML)がさまざまな業界のアプリケーションに組み込まれる道を探しています。実際、AIとML技術の波に乗ったブレークスルーを探し出すことができれば、AIとMLは今後5年間で、すべての革新の根幹を成すまでに成長するでしょう。そして、大変興味深いことは、あらゆる最新のMLテクノロジーがオープンソース上で動作するという事実です。テクノロジーを加速させるのはコラボレーションなのです。

企業のデジタルファースト戦略にとって重要な前提条件を理解するということは、市場でデジタル化が1企業にもたらす背景との関係を維持するために、デジタルファーストを「あればよい」から「なくてはならない」能力へと考え方を改めることなのです。

 

この記事はFUTURECIOに弊社副社長Andy Jiangが寄稿した署名記事を媒体社の許可を得て抄訳したものです。

https://futurecio.tech/deploy-or-die-critical-dependencies-for-a-digital-first-strategy/

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