激化する競争
パキスタンでは自動車業界の競争が激化しています。中国パキスタン経済回廊構想からの数十億ドル規模の投資、そして中産階級の急激な増加により、パキスタンの自動車販売台数は今後数年間で現在の5 倍に増加すると見込まれています。こうした新たなビジネスチャンスをきっかけに、高級自動車への需要増加から利益を得ようと国外メーカーがパキスタンに殺到しています。
日本の自動車メーカーHonda社の子会社である Honda Atlas Cars Pakistan(Honda Pakistan)社は、全国30のディーラーから成る大規模なネットワークを通じて20年以上にわたって消費者や企業に高品質な自動車を提供することで高い評価を得てきました。Honda Pakistanでは、こうした努力により獲得した市場シェアを維持し、そのシェアをさらに拡大するために、長期的な顧客ロイヤルティの育成を目指しています。
Honda PakistanのIT General Managerである Muhammad Ali氏は、次のように述べています。「顧客体験全般において、アフターサービスの品質と対応の早さが重要な鍵となります。最高のドライビング体験を提供するという当社の取り組みの一環として、今後5年間で20か所の拠点を追加することでディーラーネットワークを拡張し、サービスの範囲を拡大して利便性を向上させることを計画しています」
概要
パキスタンでは今後数年間で、自動車の販売台数が現在の5倍に増加すると見込まれています。国内市場の自動車ブランド数は2倍以上になり、消費者にとっての選択肢はかつてないほど増えています。競争力を維持するために、Honda Pakistanでは自社の顧客サービスを最適化する必要がありました。同社は、IBM Power Systemsハードウェア上のSUSE Linux Enterpriseプラットフォームで実行される次世代の SAP S/4HANAソフトウェアに既存のSAP ERPソ リ ューションを移行しました。SUSE、IBM、SAPのテクノロジーを組み合わせることで、重要なビジネスプロセスを24時間体制でサポートする、信頼性の高 い高性能プラットフォームを手に入れることができます。
アフターセールス体験の向上
従来、Honda Pakistanのディーラーは、スペアパーツの注文や保証請求の処理などの重要なビジネスプロセスを管理するために、手作業のワークフローに大きく依存していました。このアプローチでは在庫数と注文をタイムリーに把握することが難しく、拠点で在庫が切れるリスクが生じ、顧客への納入が遅れる可能性が高くなっていました。
Muhammad Ali氏はさらに次のように述べています。「国内市場の自動車ブランド数は2倍以上になり、消費者にとっての選択肢はかつてないほど増えています。優れた顧客体験を提供することが非常に重要になっているため、当社ではアフターセールスプロセスを強化することにしました」
実績のあるテクノロジーを基盤に構築
自動車業界の多くのトップ企業同様、Honda PakistanでもSAPのビジネスシステムを利用してエンドツーエンドのビジネスプロセスを実現しています。自社の顧客体験目標を達成するために、同社では既存のSAP ERPソリューションから次世代のSAP S/4HANAプラットフォームへの移行を決定しました。その目的は、ディーラーネットワークから取得したリアルタイム注文データを使用してスペアパーツの計画と補充プロセスを自動化し、シームレスなサービスと顧客満足度の向上を実現することでした。
データを活用した新しいアプローチをアフターサ ービスで実現するには、移行先のSAP S/4HANA環境の高いコンピューティング性能、そしてストレージレイテンシとネットワークレイテンシの低さが重要であることをHonda Pakistanは認識していました。新しいプラットフォームでミッションクリティクリティカルなビジネスプロセスを処理することになるため、管理や保守のコストを増大させることなく、新しいSAPソリューションの可用性を最大限に高めることができるサーバープラットフォームを探すことになりました。
「IBM社との話し合いを通じて、SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsは、エンドユーザー・アプリケーションのパフォーマンス、可用性、コスト効率に関する厳しいサービスレベル要件を満たし、新しいIBM Power Systemsプラットフォームへの投資の価値を最大化できると結論付けました」
信頼性の高いサーバープラットフォームの選択
Honda PakistanのNetworks&IT Infrastructure担当IT Deputy ManagerであるZaman Khan Abdali氏は、次のように述べています。「複数のインフラストラクチャを検討した結果、IBM社の専門家チームと協力して、最新世代のIBM POWER9プロセッサベースのシステム上にSAP S/4HANA用の新しいインフラストラクチャプラットフォームを構築することにしました。
「IBM社との話し合いを通じて、SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsは、エンドユーザーアプリケーションのパフォーマンス、可用性、コスト効率に関する厳しいサービスレベル要件を満たし、新しいIBM Power Systemsプラットフォームへの投資の価値を最大化できると結論付けました」
重要なサービスの保護とコストの抑制
Honda Pakistanは、SAP S/4HANAのOSとして SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications を選択することで、管理、保守、障害復旧の各プロセスの大幅な効率化を推進しています。
Honda PakistanのSAP BASIS Assistant Manager であるImran Khan氏は次のように説明しています。「IBM、SUSE、SAP各社の緊密な戦略的提携には非常に感銘を受けています。これこそが、当 社がSUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsを選択した主な理由の1つです。3社のソリューションは互いに緊密に連携しており、管理プロセスを効率化するための自動化されたツールが数多く用意されています。たとえば、SUSE Linux Enterprise Serverのカーネルライブパッチを使用すると、本番システムをオフラインにすることなくパッチを適用できます」
同氏はさらに次のように続けます。「 また、 SUSE Linux Enterprise High Availability Extension では、プライマリ環境と障害復旧環境をすばやく簡単に切り替えることができます。SUSEが提供する柔軟性の高いポリシー駆動型クラスタリングソ リューションを使用し、15分であった目標復旧時間(RTO)を33%短縮して10分にすることで、ビジネスの耐障害性を強化できると考えています」
最終的には、これらの技術的なメリットが、より信頼性が高く、応答性の高いシステムへと姿を変え、Honda Pakistanとそのディーラーはすべての重要な顧客体験の局面でライバルを圧倒できるようになります。
サービスイノベーションの基盤
現在、Honda PakistanはIBM、SAP、SUSE各社と協力してSAP S/4HANA向けITインフラストラクチャの導入に取り組んでいます。新しいプラットフォームが稼働すると、データを活用した機能によって、ディーラーが全国の個人や企業にさらに質の高いサービスを提供できるようになると同社では予測しています。これによりロイヤルティが高まり、市場シェアの維持にも役立ちます。
「SAP S/4HANAへの移行における最初の目標の1 つは、SAP ERP、SAP CRM、SAP Business Warehouseの機能を1つのプラットフォームに統合することです。これにより、当社のディーラー、製造工場、本社間でのビジネス計画の統合を実現できます」とMuhammad Ali氏は説明しています。「こうしたリアルタイムのデータフローにより、当社のディーラーネットワーク全体でスペアパーツ在庫を自動的に最適化し、自動車の整備遅延を回避して、自動車を使えない時間を最小限に抑えることができます」
当然のことながら、リアルタイムシステムでは従業員も顧客も常時稼働のサービスを期待します。組み込みの高可用性やカーネルライブパッチなどの機能を備えたSUSE Linux Enterpriseプラットフォームにより、Honda Pakistanは重要なデータや顧客サービスのワークフローを常に利用できる体制を確保できます。
将来の変化にも対応
Honda Pakistanでは、SAP S/4HANAをSUSE Linux Enterpriseプラットフォーム上で運用することにより、未販売の在庫をディーラーネットワーク内の必要な場所に効率的に移動できるため、収益が速やかに15%増加すると確信しています。長期的には、顧客ロイヤルティの向上と市場シェアの拡大を実現できる、より迅速なサービスが新しいリアルタイムプラットフォームによって可能になると同社では予測しています。
「顧客体験と長期的なロイヤルティの向上に、 データを活用した新しいアフターサービスプロセスが大きく貢献すると確信しています」と Muhammad Ali氏は述べています。「当社とお客様との約束を果たすには、お客様に充実したサービスを提供するのに必要なデジタルツールに従業員とディーラーチームが24時間365日アクセスできることが不可欠です。SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsは当社の新しいSAP S/4HANA ソリューションの基盤となっており、ミッションクリティカルなシステムを24時間いつでも利用できるという安心感を得られています」