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業種: Automotive
所在地: 韓国
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Hyundai、SUSEでコネクテッドカーを推進

ハイライト

  • オペレーションを効率化し、セットアップや管理にかかる時間を大幅に短縮
  • 成長やイノベーションに必要な、スケーラブルで柔軟なITインフラを実現
  • SUSE Rancher Prime経由のKubernetesサービスで99.95%以上のサービスレベルを達成し、システムの信頼性と効率性を実証
  • チームが新しい技術の開発や革新に専念できる環境を整備

製品

現代自動車(HMC)は、2024年までにオール・コネクテッド・カー(すべてがつながる車)の製造に おいてリーダーになることを目指し、技術基盤をデジタル変革しています。SUSE Rancher Primeを活用して「ソフトウェア定義車両(SDV)」の機能を実現することで、Kubernetesベースのサービスにおいて99.95%以上のサービスレベルを達成しました。

概要

1967年に設立されたHMCは、現代自動車の子会社で、自動車の革新と製造におけるグローバル リーダーとして、200ヵ国以上に進出しています。サステイナビリティとモビリティの未来にコミットし、 HMCは一貫して自動車業界の未来を切り開いています。

HMCの最新のグローバル戦略は、2025年までにHyundai傘下の全車両をSDV化することです。この計画の中心的役割を果たすHMCは、2024年までにオール・コネクテッド・カーだけを製造することを目指しています。

企業向けオープンソース・ソリューションへの道のり

現代自動車(HMC)は、すでにプレミアムブランドで導入されているオール・コネクテッドカーシステムを、SDV技術の基盤として活用しています。この技術により、車両の安全性や快適性、パフォーマンスなどの機能を、スマートフォンのように高度なOTA(Over-The-Air)アップデートを 通じて改善することが可能になります。
このSDVへのシフトは、自動車テクノロジーの未来へ向けた大きな一歩であり、ドライバーや乗客の体験を新たにするものです。SDVを実現するために、HMCは、車載インフォテインメント システムから高度なナビゲーション技術など、さまざまなアプリケーションをホストできる堅牢で汎用性の高いプラットフォームを必要としていました。

そこでHMCは、自動車クラウドプラットフォーム専門の開発チームにソリューションを依頼しました。このチームは、専用のプライベートクラウド環境で、シームレスなコンピューティング サービスや包括的なサポート機能、監視や認証といった共通サービスを提供するという役割を 担っていました。そのため、オール・コネクテッドカーのコンセプトを支え、さらに管理が簡単な安定性を備えたスケーラブルなインフラが必要でした。専有技術の制約やコストを考慮し、開発や運用にはオープンソース技術の活用を決めました。

しかし、内部リソースが限られていたため、オープンソース技術の進化に追いつくことに苦労していました。メンテナンスや問題解決よりもイノベーションにリソースを集中させたいと考えたチームは、主要なオープンソース技術に正式なライセンス契約と技術サポートを導入することで対応しました。

「SUSE Rancher Primeを通じて管理されるKubernetesを実行する
サービスでは、99.95%という非常に高いサービスレベルを達成して
おり、システムの信頼性と効率性を実証できました」

なぜSUSEソリューションなのか?

最新のマイクロサービスアーキテクチャを構築するため、チームはVMware TanzuやRed Hat OpenShiftなどのコンテナ管理ソリューションを検討しましたが、最終的にSUSE Rancher Primeを選びました。この選択には、現代自動車の子会社であるHyundai AutoEver社からのSUSE Rancher Primeに関する情報が役立ち、チームはこのツールとSUSEの技術サポートの評価が非常に高かったことも決定に影響しました。

SUSE Rancher Primeがコミュニティ版Rancherと同じ技術を提供していることも、選択において重要なポイントでした。チームは既にサポートのないRancherがコンテナ基盤やセキュリティの設定にどのように対応できるかを理解していたため、 従来のPOC(概念実証)を省略し、実際の使用例を参考に導入を決定しました。

SUSE Rancher Primeは、基本的なニーズを満たすだけでなく、SUSEの充実した技術サポートに支えられており、単なる技術管理から、イノベーションと高度な開発へと集中できる環境を提供しました。

SUSE Rancher Primeの効果

HMCは現在、SUSE Rancher PrimeをOpenStack、 Equinix Metal、デルのハードウェア、インテルのプロセッサーと組み合わせてオンプレミスのデータセンターやクラウドで活用し、オール・コネクテッド カー・システムの運用を支えています。この統合により、HMCは未来の自動車産業において不可欠な機能を多く実装することができ、HMCの運用を合理化しただけでなく、工場から公道までのさまざまなシーンで、SDV技術の新基準を打ち立てました。

また、チームはSUSE Rancher PrimeをHMCのSDV (ソフトウェア定義車両)ビジョンの中心的な管理ツールとして利用し、顧客がインフォテインメントシステムやナビゲーション、GPSといったオールコネクテッド・カーの機能を活用できるようにしています。さらに、OTA(Over-The-Air)アップ デートを通じて、常に最新のセキュリティと安全性も提供しています。 

SUSE Rancher Primeの導入は容易で、ユーザーフレンドリーなインターフェースのおかげで、 チームはさまざまなサービスのコンテナ環境を設定・管理するために必要な時間と労力を大幅に削減することができました。SUSE Rancher Primeの直感的な「シングル・ペイン・オブ・グラス(一元管理)」ビューにより、オンプレミスやクラウドのどこにあってもクラスタを簡単に管理・設定できるようになり、「SUSE Rancher Primeのポータルはクラスタ管理の重要な役割を果たしています。さまざまなサービスに必要なKubernetesクラスタの作成を大幅に簡素化することができました。また、Rancher APIを使ってカスタムポータルとシームレスに統合することで、非常に効率的な環境が実現しました」と評価されています。

SUSE Rancher Primeのパフォーマンスも非常に優れており、HMCのサービスではSUSE Rancher Primeで管理されるKubernetesによって99.95%のSLAを達成しています。

 

SUSEサービスの効果

 

HMCとSUSEのパートナーシップは、同社の変革を支えるための包括的なサポートサービスを提供しています。2022年にエンタープライズサービスを導入してから、HMCのチームは製品サポート、コンサルティング、トレーニング、マネージドサービスを利用してきました。このような支援により、HMCはSUSE Rancher Primeの機能を最大限に活用し、少人数のチームで効率的にKubernetes資産を管理できるようになりました。 

SUSEのサポートのおかげで、HMCのチームはKubernetesの新しいバージョンへの対応や管理 の複雑さに対しても、自信をもって取り組めるようになりました。チームリーダーは、「SUSEのサポートは非常に優れており、限られたリソースで大規模なKubernetesを管理する上での大きな支えとなっています。SUSEの専門知識は、私たちの成功の基盤です」と語っています。 

このパートナーシップは、技術管理を簡便にするだけでなく、HMCが地域に根ざしながら自動車技術の最前線に立ち続けるというコミットメントを強化しました。SUSEの強力なサポートは、HMCが先端技術と強固なインフラを維持し、その野心的なビジョンを実現するための重要な要素となっています。 

HMCの次なる目標は?

 

HMCの技術革新への取り組みは一層強化されており、SUSEはその取り組みの中で引き続き重要な役割を果たしています。HMCは2024年までに、オール・コネクテッド・カーを実現する リーディングカンパニーとなることを目指しています。このビジョンは地域を超えて、すでに韓国、北米、欧州、シンガポールで展開中であり、さらにオーストラリアやインドネシア にも拡大する予定です。これにより、HMCのグローバル展開は新たな時代を迎えます。 

この未来に向けた計画の重要な要素の1つとして、HMCはレガシーなオンプレミスシステムの多くをSUSE Rancher Primeを活用したKubernetes環境へと移行しています。これにより、HMCは車両技術に対して柔軟でスケーラブル、かつ革新的なアプローチを取り入れることが可能となりました。 

HMCが自動車技術の限界に挑戦し続ける中で、 SUSEとのパートナーシップは戦略の中核として機能し続けています。最先端技術と堅牢なサポートシステムを活用し、HMCは単に未来に 備えるだけでなく、積極的にその未来を形成し、次世代の自動車技術の基準を打ち立てています。