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業種: Banking & Financial Services
所在地: インド
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NPCI、Rancher Primeでインド経済の将来のリスクを回避

ハイライト

  • ベンダーロックインのリスクを排除したエンタープライズグレードのKubernetesソリューションです。
  • 分散したクラスターの制御を一元化。
  • 完全なKubernetesクラスターをわずか120分で展開し、従来の方法と比較して約6時間の時間を短縮。
  • 正確な権限管理と役割に基づくアクセス制御により、安全なマルチテナント型クラスターを実現。
  • コンテナの導入とその高可用性機能により、アプリケーションの信頼性を向上。
  • ITソリューションの管理を容易にするためにビューを一元化し、コンプライアンスを強化。
  • ITリソースの「民主化」を促進。
  • デプロイメントプロセスを合理化、自動化し、効率化を実現。

製品

インド決済公社(NPCI)について

2008年、インドの大手銀行のコンソーシアムは、インドの巨大な経済成長の可能性を引き出すために、インド決済公社(NPCI)を設立しました。NPCIは、インドの複数の小売決済システムを統合することと、場所や所得水準に関係なく、すべての国民が利用できる新しい決済システムを構築することを2大目的としています。

NPCIは設立以来、インドのフォーマル経済とインフォーマル経済のギャップを埋めるために、無数のサービスやイニシアティブを立ち上げてきました。最も人気のあるサービスには、RuPayやUnified Payments Interface(UPI)などがあります。RuPayは、インド初の国内カード決済ネットワークで、全国のATM、POS機器、Eコマースサイトで広く利用されています。この安全性の高いネットワークは、フィッシング対策にもなり、国際的な決済ネットワークに対するNPCIの回答ともなっています。RuPayは、インドのすべての銀行に金融機関が電子決済を提供することを奨励し、「現金の少ない」経済を開始するというインド準備銀行のビジョンを実現します。

UPIは、複数の銀行口座を1つのモバイルアプリケーションに統合するシステムで、いくつかの銀行機能を統合し、シームレスな資金ルーティングと加盟店決済を提供します。UPI-NPCIの試験運用は、2016年4月に21の加盟銀行で開始されました。その数カ月後には、各銀行がUPI対応アプリケーションをGoogleのPlayストアにアップロードするようになりました。UPIは、インド全体のデジタル取引を大規模に成長、促進し、2023年1月だけで80億件の金融取引を成功させています。

これら含め、提供されたサービスは、インドに住む人々の取引方法を変えただけでなく、銀行口座を持たなかった何百万人もの人々が、国籍に関わらず初めてインド国内の銀行に口座をつくって正式な金融サービスを利用し、国の成長に貢献できるようにしました。

今日、NPCIは国際的に認知され、世界の決済業界における重要なプレーヤーとして台頭しています。効率的で包括的な決済システムの開発を目指す他の国々に、その雛形を提供しています。

At-a-Glance

インド決済公社(NPCI)は、インドの小売決済システムを大幅に改善しました。その目的は、小売決済システムに継続的にイノベーションをもたらし、業務効率の向上と決済システムを普及させることです。同公社は、新しいITアプリケーションの高可用性運用と、コンテナベースのサービスの迅速な展開にSUSEのソリューションを利用しています。

新サービスで世界の決済事情を前進

革新的な決済ソリューションにより、NPCIは、インドが世界のトップクラスと競える世界クラスの技術ソリューションを開発する能力がある事を実証しました。NPCIのプラットフォームエンジニアリング部門は、現在および将来にわたって経済的な地位を維持するため、新世代のアプリケーションの需要に対応し、また業務効率を高めるために、業務とプラットフォームの近代化に着手しました。特に、インドだけでなく世界規模で決済のエコシステムに革命をもたらす新製品を開発し運用をサポートするために最新のインフラが必要でした。

同時に、チームはもう一つの課題に直面しました。最も人気のある製品の1つである、プッシュ&プルの一括取引を行うウェブベースのシステム「National Automated Clearing House(NACH)」は、RedHatの無償オープンソースLinuxディストリビューション「CentOS 7.x」で稼働していました。2021年12月31日をもってCentOSは耐用年数を迎えるため、NACHを存続させるためには新しいOSが必要でした。

課題に取り組むために、部門は迷わず別のオープンソース・ソリューションを選択しました。「私たちは人を優先する組織です。共同開発というコンセプトを信じ、オープンソースの原則にコミットしています。ベンダーにとらわれないことは私たちにとって重要であり、オープンソースを心から愛しています」とNPCIの技術・インフラ担当副主任であるShiva Kumar R V氏は話します。

「Rancher Primeに付属するサポートがあることに感激しました。さまざまなアイデアを追求するサポートチームの励ましは新鮮で、完璧なパートナーを見つけたような気持ちにさせてくれました」

Rancher Primeでポテンシャルを最大化し、リスクを最小化

デプロイメントとアプリケーションの管理を簡素化しながら変革を目指すインフラチームは、ベンダーにとらわれない、CNCF認定、100%オープンソースという条件で、いくつかのコンテナ・オーケストレーション・ソリューションを評価しました。

Rancherに加え、Red Hat OpenShiftとCanonicalのCharmed Kubernetesを検討しました。性能面ではCharmedとRancherが最も近かったのですが、チームはすでにCharmed OpenStackを利用しており、集中のリスクを避けるため、Rancherに決定しました。

性能面もそうですが、チームのビジョンに対するSUSEのコミットメントが決め手となりました。業界の専門家は、仮想化を捨ててベアメタル上にKubernetesを純粋に展開することに警告を発していましたが、SUSEチームは当初からこのアイデアを受け入れていました。

Shiva RV氏は、「私たちの旅には、Rancher Primeに付属するサポートがとても役に立ちました。さまざまなアイデアを追求するサポートチームの励ましは新鮮で、完璧なパートナーを見つけたような気分にさせてくれました。Rancher Primeのサポートがあることで、私たちは自信を持って、可能性の限界に挑戦し続けることができます。この協力的な精神は、まさに私たちが求めていたものであり、これ以上ないほど興奮しています。

毎月何十億もの取引が行われ、膨大な人と取引をするNPCIでは、失敗は許されません。そのため、NPCIは日々の業務のセーフティネットとして、エンタープライズサポートを受けることにしました。

「インフラを一新することで、すでに1つのリスクを背負っています。そこで、オープンソース・ソフトウェア・ベンダーのサポートを受けることにし、契約したのです」とShiva RV氏は説明します。「私たちのユニークなアプローチは大きな成功を収め、わずか2カ月半で実りある結果を得ることができました。この間、私たちはSUSEの揺るぎないサポートに感謝しています。彼らの親切な対応と私たちの進歩に対する満足感によって、私たちはこのジャーニーへの愛着と、これからも一緒にやっていこうという気持ちが固まりました」

可観測性、安定性、可用性を高めた未来への道筋を描く

Rancher Primeのおかげで、NPCIは、他のプラットフォームに見られることもあるロックインなしに、すべての認定Kubernetesクラスターに比類のない一貫した運用性と高い可観測性を実現しました。

「プラットフォームエンジニアリングの主要な焦点は、可用性、スケーラビリティ、セキュリティであり、この3つにおいて可観測性は極めて重要な役割を担っています。可観測性を活用することで、これらの目的を達成することができます。Rancher PrimeやRKEを含む現在のインフラスタックは、すでにインフラの観点から可観測性を高める広範なメトリクスを提供しています」とShiva氏は話します。

分散したクラスターやデプロイメントをシームレスに一元管理

デプロイプロセスの合理化・自動化は、NPCIのアプリケーション環境に大きな変化をもたらしました。Rancher Primeを導入することで、ITチームは、管理や運用の負担を増やすことなく、マイクロサービス・アーキテクチャを容易に取り入れることができるようになりました。

Rancher Primeは、分散したクラスターとデプロイメントの管理を一元化することで、NPCIに決定的な優位性をもたらし、インフラチームは付加価値の高い業務に集中することができます。Rancher Primeでは、分散したクラスターを一元管理することで、インフラチームが付加価値の高い業務に集中できるようになりました。「デプロイして稼働した後は、シームレスになった分、そのクラスターへの関心はかなり低くなっています。Rancher Primeのおかげで、夜も安心してベッドに入ることができます。この製品はシームレスで安定しており、何の問題もありません。私たちが常に求めているのは、安定性です。」

セキュリティ

Rancher Primeは、軽快な開発手順のセキュリティを保証します。クラスター内の異なるプロジェクトを分離し、開発者の権限の管理と記録を一元化します。NPCIの継続的インテグレーション/継続的デプロイメント(CI/CD)パイプラインは、すべてのアクセスをコントロールし、潜在的なデータ損失からプロジェクトを保護します。

ドキュメンテーションとSUSEサポート

NPCIがRancher Primeで得た快適な体験は、そのユニークな導入ユースケースにとどまりません。同チームによると、ドキュメントとレポートは、その自給自足ぶりが実に見事であり、SUSEのサポートも特筆に値するとのことです。

「製品は非常によく設計されており、スムーズに動作します。ドキュメントも素晴らしいです。SUSEサポートに依頼したのは、いくつかのニッチな問題だけでした。そして、障害に遭遇した時はいつもSUSEサポートに連絡しました。そして彼らの素晴らしいサポートに感嘆しました。全体として素晴らしい経験でした」とShiva RV氏は指摘します。「Rancher Primeは、チェックリストやクラスターを用意してくれています。チェックリストやクラスターを提供してもらい、共同作業で進めています」

NPCIの次の目標は?

コンテナ型アーキテクチャに移行する際、NPCIの厳格なコンプライアンス要件を満たすソリューションを見つけることは不可欠でした。コンテナ環境は複雑であり、チームにとって責任は重大です。このため、単純にソリューションを導入して前進させる、で良い訳ではありません。なので、現在、彼らはSUSE NeuVector(コンテナセキュリティをライフサイクル全体で実現するKubernetesネイティブのセキュリティプラットフォーム)を自社のテクノロジースタックに統合している最中です。

「SUSE NeuVectorは、私たちにとって明確な勝者として浮上しました。SUSEのエコシステムへのシームレスな統合、CNCF認証、100%オープンソースのステータス、SUSEチームとの優れた連携は、理想的な選択となりました。私たちは、SUSE NeuVectorが私たちのエコシステムに統合されるのを心待ちにしており、近いうちに実現することを期待しています」とShiva氏は述べています。